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解読されたコード 4 航星日誌 地球暦20140904

2014.09.04.Thu.11:00
3回目の「昇華」と呼ばれる手順を、高層階から飛び降りる途中で終えた社長は、身が軽くなったことを確実に感じた。

「私は、近付いている」
そして、地図で確かめた場所を思い続け、すぐ傍の水路に辿り着く事ができた。

「ここか、公式の最後の場所とは・・・・」

・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*

社長が水生生物に出会ったのは、2回目の昇華を始める前に、あの実験室に自ずと導かれるように、そこに繋がる配水管から吐き出された時の事だった。

水槽はあくまでも水が張られているようにしか見えなかったのだが、その中に時折キラリと光る虹色。

社長はこの不思議な光と「ただの反射か」と思われた虹色に魅せられてしまった。

がしかし、
よく確かめようと社長が水槽を覗き込んだときの事だった。


「虹色」に見えた光からは、明らかに何らかの生命と思われる、しかしそれはあくまでも魚類か両生類にしか見えない、時折見せる黒い目だけがやけにしっかり見えて、身体中パステルな虹色にしか見えないものだった。


不思議に思い、その時折見える黒い瞳を追いかけていると、時分とは明らかに違う「意識」が自分に話しかけてきたのだ。


水:あなたは、この星を救いたいか?
社:?
水:それだけの覚悟があるのか?
社:???!

水:仕方が無い。 精神融合をさせてもらう。

水槽の中から細い、無数の触手が伸びてきて、社長の頭全体を包み始めた。

社:やめてくれ・・・(身体が動かない・・・・)

水:あなたはずいぶん些細な事で悩んでいるようだ。
  どうだろう、もう少し自分の価値を、自分の出来る事を大きくしたい、
  そんな力を持ちたいとは思わないのかね。
社:・・・・
水:いいだろう。
  よく覚えていて欲しい。
  この星は、そう永くはもたない。 私たちはいくつもこのような星を見てきて、
  救えた星、救うに値しない星、数々と見てきたが、この星はまだ何とか
  なるのではないかと考えている。
社:・・・・
水:これを見ろ。

見せられたのではなく、精神融合により頭の中に不思議な図と数学的、科学的と
思われる数式が表された。

水:この数式は、この星を救うためにだけ私たちが計算した結果を隠してある。
  そして、この数式を解くための炭素ユニットを探していたのだよ。
  そして、あなたがその「炭素ユニット」として選ばれた訳だ。
社:私は・・・望んでいない・・・・
水:いや、望むか望まないか、ではなく、
  適しているか、そうではないか、というところが一番肝心な事なのだよ。
  あなたは適している。
  そして、こうして私達の元にやって来た。
  さぁ、この数式を解くためには、あと数回の昇華が必要だ。
  そうすれば、世界中の醜い戦いや飢餓、貧困がなくなり
  この星はもっと素晴らしいものとなる。
  信じるのだよ。
社:あなたたちは、どこから来て、なぜこの星を救おうとしているのだ?
  それ以前に、本当にこの星から醜い戦いや飢餓、貧困がなくなり、
  もっと素晴らしいものとなるのか?


水:信じるのだよ。


・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*


3回目の昇華が終わった。

目の前の景色は、造成中の住宅地。
遠くに瀬戸内海が見える。

社:あの水生生物が言った事は、


  信じてもいいのか?


既に陽は西に傾き、薄い筋雲が茜色に染まっている。


始めはその夕焼けを静かな気持ちだけで眺めていた社長だったのだが、


が、


社:あ!


筋雲に、よく見るとアルファベットのようなものがうっすらと浮き出ていて、陽が沈むのに合わせて出来る影で、その文字ははっきりと見えるようになってきた。


その時、社長の頭に「例の公式」が甦り、まるでパズルのように夕焼けの中の文字が次々とその公式の中に代入され、計算が始まった。


そのうちに数式から発生した円が頭の中に描かれ、その円を貫くように1本の直線が引かれた。


さらにその直線の、円の中の1点から数式が発生し、その計算結果を示すものとして「K=数式」と言う形に落ち着いた。


非常に難しい数式であったが、社長がそれを覚える事には全く抵抗が無く、むしろ「当たり前のもの」として彼の記憶の中に留まった。


夕陽は沈んでしまった。


公判の再開まで、あと5日しか残されていなかった。



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